Cigar(葉巻)について
【 Cigar(シガー、葉巻)の歴史について、吸い方とは 】
主なシガーの生産地
キューバ、ニカラグア、ホンジュラス、ドミニカ、ブラジル、アメリカ(コネチカット・バレー)、インドネシア、ジャマイカ、メキシコ、エクアドル、フィリピン、カメルーンなど
シガーの歴史
・メキシコ・ユカタン半島・マヤ文明~大航海時代、コロンブスがスぺインに持ち帰り以降、18世紀までキューバと南米支配国のタバコ葉をスペインが独占。
・19世紀初頭イベリア半島戦争(1806-1812)、ナポレオンのスペイン侵攻以降、フランス、イギリスに広まる。
・スペインシガー生産奨励命令(1821)、イギリス生産統制法(1821)~ホテルやナイトクラブに喫煙ルーム、ヨーロッパ鉄道に喫煙車。
・19世紀末、食後にポートワインやコニャックとシガーの習慣。(食後至高の3C=Cigar,Cognac(Coffee),Chocolate)
・ファッションへの影響。スモーキング・ジャケット『ル・スモーキング=(タキシード)』
・キューバシガーは18世紀前半頃~自由化~19席半ば、タバコ農園は9500か所、約1300の工場~20世紀初頭120か所。
(現在は30か所ほど。ハバナ市内には、パルタガス、エル・ラギート、ロメオ・y・フリエッタ、H・アップマン、ラ・コロナ工場の5つ)
・19世紀半ば黄金期、パルタガス、パンチ、H.アップマン 、ラモン・アロネス等今も続くブランドが生まれる。
・1902年第一次キューバ独立戦争(米西戦争)、アメリカ傀儡政権~バチスタ政権
・1959年キューバ革命、61年、アメリカとの国交断絶、62年キューバ危機~経済封鎖~一時国交回復するも現在も
"キューバとアメリカの関係が極度の緊張に達した1962年2月6日、ケネディ大統領が首席報道官であるサリンジャーを呼び出し、「明日までにペティアップマンを千本以上、集められるだけ集めろ」という指示を出した。
サリンジャーは翌日までにペティアップマンを1100本集めた。ケネディ大統領はそれを確認すると、キューバ製品のアメリカへの禁輸法案にサインした"
・2度の内戦で政情不安になり、海外へ出る生産者も。
中南米他国で生産されている(ノンキューバ)シガーにコイーバやモンテクリスト、ロメオやパンチ等の銘柄があるのは、本来の生産者やゆかりの一族が海外へ逃れて起こしたブランドであるケースが多いという。これは裁判を通して商標権を判断されたが、両方が違憲ではなく、権利を有するものと判断された模様。
現状
・2020年、コロナ禍によりキューバの葉巻工場も生産を中止、休止状態を繰り返す。重なって、タバコ葉の不良やハリケーンの影響、戦争による輸送の弊害等があり、特にキューバ産葉巻は、需要と供給のバランスが崩れ、品薄状態から、世界中で買い占め、取り合いが続き価格が高騰、一番高騰している香港相場(2012年頃からハバノスが中国市場への展開もあり)に合わせ、2022年、大元のハバノスの価格改定。日本は2020年10月、2021年10月、2022年8月、2023年4月と段階的に価格改定を行っているが、それでも海外相場からは低い(為替の影響もある)。
葉巻にまつわる映画、著名人
映画 公開 作品 出演
1972 ゴッド・ファーザー マーロン・ブランド
1987 アンタッチャブル ロバート・デ・ニーロ(アル・カポネ役)
2017 ウィンストン・チャーチル ゲイリー・オールドマン
2008 チェ べニチオ・デル・トロ(チェ・ゲバラ役)
2000 13デイズ 1962年のキューバ危機を描いたJFKにまつわるフィクション映画。
1990 ハバナ ロバート・レッドフォード主演。1958年のキューバ革命前夜を描いたフィクション。
1999 ブエナビスタ・ソシアルクラブ 監督ヴィム・ヴェンダース。
ライ・クーダーとキューバミュージシャンとの交流、セッションを描いたドキュメンタリー。
著名人
フィデル・カストロ コイーバ、トリニダッド
ジョン・F・ケネディ ペティ・アップマン(RG36×115mm・廃盤)後継品→ エピクール(RG35×110mm)
ジャック・ニコルソン モンテクリスト
吉田 茂 ラ・コロナ、ヘンリー・クレイ、OLD PARR
~ やや横柄な態度で葉巻をすすめたマッカーサーに対し、吉田は「それはマニラ産でしょう。私はハバナ産しか吸いません」と毅然とした態度で断りました。~
コイーバについて
1960年代初頭、フィデル・カストロは当時、彼のチーフボディーガードだった通称「チーチョ」が吸っていた葉巻の香りと味に強く感銘を受け、
「ランセロス」と名付けて愛用する様になった。その葉巻は「チーチョ」の友人、ラ・コロナ工場の葉巻職人、エドアルド・リベラが独自にブレンドした物であった。
1968年頃、カストロは当時計画していた新しい葉巻工場「エル・ラギート」にエドアルド・リベラを責任者として迎え、コイーバは生産開始された。
当初はキューバ共和国政府の政府要人用、外交客人用の葉巻として政府関係者しか手にする事ができなかったが、1982年に商品として一般市場に開放された。
【 葉巻 × 酒 】
蘊蓄な組合せ
・トリニダッド レジェス × エル・ラギート(The TRADオリジナル・カクテル)
(自家製コーヒー・ウォッカ、ハバナクラブ7y、タリスカー10y、シガーシロップ、シナモン)
王者コイーバ(1968~)は本来、キューバ政府高官用、外交客人用として政府関係者しか手にできなかった葉巻だったが、
1982年に市場に解放されてからは、それに代わり1998年の一般販売まで門外不出の幻の葉巻とされてきたブランドがトリニダッド(1969~)。
それはある意味、コイーバよりも上位ブランドともいえる。
そして、キューバで最高の職人(トルセドール)が最高のタバコ葉(ヴェルタ・アバホ産)で最高級のシガーを取り扱う工場といえば、コイーバで有名なエル・ラギート。
このトリニダッドもエル・ラギートで製造されている(ピナール・デル・リオ工場説もあり)。このカクテルは、その名を冠したカクテル。
ややウッディ。カカオ、ナッツ、ペッパーからのカフェオレ的なクリーミーさを伴う。ショートサイズながらも濃厚なこれに合わせるはエル・ラギート・カクテル。
初心者向け
・モンテクリスト NO.4 × エスプレッソ・マティーニ
(自家製コーヒー・ウォッカ、グランマニエ、アマレット、エスプレッソ)
キューバ3大シガーブランド(コイーバ、モンテクリスト、ロメオ・イ・フリエッタ)の1つ。ちなみに、19世紀から工場では、作業中に教育の一環として文学などを朗読して
聞かせるという風習が今だにある。その中でシガーローラー達に人気があったのが、物語ロミオ&ジュリエットやモンテクリスト伯(巌窟王)であり、それがブランド名となった。
モンテクリストにはエドモンドと、ダンテスという銘柄もある。(アレクサンドロ・デュマ作・復讐劇モンテ・クリスト伯の実名はエドモンド・ダンテス)
その中でも世界で最も売れていると言われ、人気が高いのがこのモンテクリストNO.4。ペティ・コロナと言われる、長さも太さも中間的な人気のサイズ。
味わいはミディアムで、甘く香ばしいカカオやナッツ風味からの、ローストコーヒー感を伴う。喫煙時間は程よいペースで40分程度。
合わせるお酒は、同調系でほんのりと甘さと苦みを伴う『エスプレッソ・マティーニ』
ゆっくりと変化するシガーに合わせて、こちらも温度変化と共に味わいがしっかりとしてくるカクテル。
酒好き向け
・ダビドフ ウィンストン・チャーチル レイトアワー トロ × カリラ モスカテルシェリー・オクタブカスク 2008y 14年 The Bar ALCAZAR 11周年記念ボトル
伝説的なキューバ時代から今もなお世界のシガー界に影響を与え続けるダビドフ。闇夜に葉巻を燻らせながら物思いにふけるチャーチル卿に敬意をこめたシリーズ。
スコッチウィスキーの樽で6ヶ月間熟成させたタバコ葉を使用したのがこの『レイトアワー』。ダークチョコレートの様なクリーミーさ、レザーやブラックコーヒーの様なアロマ。
特に中盤以降、このシガーに合わせるならば、濃厚で甘口のモスカテルオクタブカスクに負けないスモーキーさを伴うカリラの中熟。この世でない深淵に誘われます。
『 シガーの吸い方~手順 』
【 構造 】
フィラー(中心のタバコ葉)、バインダー(フィラーを巻き固定する葉)、ラッパー(外側に巻く葉)
ヘッド(吸い口。キャップと呼ばれる蓋がしてある)、リング(又はバンド。ブランドのロゴ)、フット(点火する面。カットされてある方)
【 カット 】
キャップされてあるヘッドの丸みを残す様な位置でカットする。(ラッパーまで切ってしまうと、ラッパーを傷つけて崩れやすくなる)
カットの違いで吸煙の入り方を調整出来る。①フラットカット(シザーやギロチンでカットする方法。最も一般的。)②V字カット(別名キャッツアイ)
③パンチカット(丸い筒状に穴を開ける方法)④ピアース(主にドロー(吸い込み)の悪い場合に使う針のような道具)
【 火付け 】
最初の着火作業が極めて重要。炭化作業(灰を炭の状態にして火を保護する)をきちんとしないと片燃えや吸い込みが悪くなり、その後が台無しになる為。
先ず用意するのは、シガー用のマッチか、シダー(杉)片、ガスライター(ジェットフレイム・ライター)を使う。ZIPPOなどのオイルライターの香りは適さない。
①右手に着火したマッチ(シダー)を持ち、左手にシガーをフットを軽く下向きにして持つ。②ラッパーを焦がさぬよう、フットの角から中心に炙るように
火を離して当てる。煙が出だしたら葉巻は左手の指で転がすように回す。(自分で吸う場合は遠火で加えながら吸って着火させてもよい)
③全体面が均等に白く覆われ、その下のフットが全面赤く灯っていれば完成。
※マッチやシダーは香りは良いが、風のある屋外やエアコン下では極めて難しく、慣れていないとラッパーを焦がしたり、不完全な着火となりやすい。
ジェットフレイム・ライターは火が安定して使いやすいので初心者には扱いやすい。しかし火が強いとこれもラッパーを焦がしやすいので注意が必要。
【 喫煙 】
・ 先ず認識すべきはシガレットの様な肺喫煙でなく口の中の粘膜吸収させる口腔喫煙であるということ。
・肺喫煙ほど吸収率は高くないが、口腔喫煙はじっくりと粘膜吸収されるため、ゆっくりと脳に到達し、まったりとした感覚になる。(ニコチン量はシガレットの数十倍)
・アルコールも入り程よくなら最高の気分になれるが、慣れていないと極度なヤニクラ(ニコチン酔い)となる(天国から地獄が待っているので注意が必要)。
・紙巻きたばこ喫煙者は肺に入れたくなるが、全く別物として認識する事。(当店の葉巻愛煙家の半分以上は非シガレット喫煙者)
葉巻は100%熟成したタバコ葉のみを用いるのに対し、シガレットはフレーバー材や燃焼材(火薬)を混入したもの。
・着火したら先ず、ゆっくりとストローでジュースを吸う時のように口の中に溜め、喉の奥に通さない(呼吸は出来る)。
・呼吸で押し出すのではなく、舌で煙を転がすようにして、流れるままに舌で自然と押し出す(吐き出さない)。
・スパスパと吸うと熱が入り、辛みが強くなる。1分に1度くらいのペースで(クールスモーキング)
・長さのあるシガーはフィルター効果もあり、最初は軽く、段々と味わいに変化が生まれる場合がある。
・灰は叩かない。叩くと片燃えの原因にもなる。灰は火を保護してくれているので無闇に落とさない。2~3cm程で傾きだしたら灰皿に折るように落とす。
・火が消えてしまったら、溜まった中の煙を吹いて吐き出してから、無駄な灰を落として再着火するとよい。(生ものでもあるので、後日吸うのは劣化を覚悟で)
・喫煙を終える際はもみ消さない。(不快を示す様な仕草、サインと受け取られる)燃焼材は無いので、そのまま置いておけば自然と消える。
・「どこまで吸えるのか?」 辞め時ですが、人それぞれです。一般的にはリング(バンド)辺りと言われますが、シガー愛煙家の方々はバンドを外して (熱が近づいてくるとバンドの糊がはがれやすくなる)、つまようじ(ニードル)を指すぐらい吸い続ける方もいますし、辛みがきつくなれば止めればよし。
以上、
当店はシガー専門店ではありませんが、
葉巻を楽しむための環境(空間 × お酒 × おつまみ)を
取り揃えております。
ウィスキー、ラム、ブランデー、ノンアルコールカクテル、
チョコレート、エスプレッソと共に、
時を忘れ、至福のひとときをお過ごしください。
・ 当店におけるシガーやお酒の最新メニュー情報は、
※ 以前に葉巻の取材を受けた際に使用した資料を用いて、掲載しております。September,2023 The TRAD